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「コベカツは地域にとっても大きなチャンス」。24年続く活動が育む、中学生の「自ら考え、行動する」居場所

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「コベカツは地域にとっても大きなチャンス」。24年続く活動が育む、中学生の「自ら考え、行動する」居場所

「自分たちのまちは、自分たちで守る」 何もないニュータウンから始まり、24年間にわたり高齢者福祉と児童健全育成を2本柱に活動を続けてきた「井吹台ジュニアチーム」。 現在、「コベカツ」という新しい枠組みのもとで、中学生たちは単なる「お手伝い」ではなく、地域を支える立派な「戦力」として活躍しています。長年の実績を持つ同団体の活動現場を訪ね、中学生たちの等身大の言葉や坂本代表の熱い思いをお聞きしました。

坂本 津留代さん
井吹台自治会連合会長

井吹台で24年間、まちづくりと福祉活動を牽引。地域団体主体のNPO「特定非営利活動法人ニューいぶき」を早期に立ち上げ、小学生から中学生へと繋がる一貫した育成の仕組みを構築。中学生に防災・安全・福祉体験の場を体系的に提供し続けている。

大人の「一生懸命な姿」を見せる。ブレない育成の軸

── 子どもたちと共に地域活動を続けてこられた原動力は何だったのでしょうか。

坂本さん最初のきっかけは、自分たちの手で「ここに帰ってきたい」と思えるまちを作りたかったからです。かつて暮らしていた地域で、住民がいきいきと汗を流す姿を見て「行政に頼るだけでなく、自分たちの手でまちを楽しく、良くしていくんだ」と強く感じた原体験がありました。
井吹台に来た当初、子どもたちは大人が用意したお祭りに参加するだけでした。でも、それでは思い出にはなっても、主体性は育ちません。少しずつ地域のお手伝いをしてもらい、自分たちで企画し、例えば司会を任せられるようになるまで、ステップを踏んでいきました。今では、中学生たちが主体となってまちを盛り上げてくれています。

── 給水訓練など、本格的な防災活動にも中学生が参加されていますね。

坂本さん災害などの想定外の事態が起こったとき、大人が一生懸命に動いて君たちを守ろうとしている、という姿をまず見せたいんです。その背中を見て育つことで、子どもたち自身も「じゃあ自分はどう動けばいいか」を自ら考えるようになります。 「昔はこうだった」と教訓を押し付けるのではなく、大人と子どもが一緒に実践的な訓練を経験する。その積み重ねこそが、いざという時に危険を察知し、命を守り合える力に繋がると信じています。

大人の背中を見て学ぶ防災訓練から、自ら企画・進行を担う地域イベントまで。失敗を恐れず「やってみる」経験が、子どもたちをまちの主役へと押し上げている。

「とにかくやってみる」。失敗を恐れない環境が育む、涙が出るほど嬉しい成長の証

── 子どもたちの自立を促すために、大人の側で意識している工夫はありますか?

坂本さん無理やりやらせるのではなく、「失敗してもいいから、とにかくやってみよう」と声をかけることですね。大人が上手に立ち位置を作ってあげるだけで、子どもたちは「じゃあ僕が言ってみようかな」「やってみたい」と自分から前に出てくれます。 意見を発表する機会でも、最初は原稿を書くところから始めて、一歩ずつ背中を押す。すると、全員が堂々と前を向いて発言できるようになるんです。学生らしく、のびのびと力を発揮できる環境を大人が整えることが大切だと感じています。

── 長く活動を続けてこられた中で、坂本さんご自身のやりがいはどんなところにありますか?

坂本さん保護者の方から「うちの子はこの活動を通じて、本当に大きく成長させてもらいました」と言っていただけたときは、涙が出るほど嬉しかったですね。
また、小学生の頃から関わってきた子が成長し、進学や結婚を経て自分の子どもを連れてお祭りに戻ってきてくれたり、「また手伝わせてください」と顔を出してくれたりします。そうやって人と人との繋がりが途切れず、まちの中で循環していく姿を見られることが、私にとって一番のやりがいです。

「失敗してもいいから、とにかくやってみる」と、子どもたちをまちの主役へと押し上げる坂本さん。

「学校とは違う学びがある」。世代を超えたコミュニケーションの面白さ

ここで、日々の活動に取り組む中学生の皆さんにもお話を伺いました。

左から中嶋正護さん、池澤颯真さん(中学3年生)、福西紗彩さん、森田茉依さん、八田瑠璃さん(中学2年生)。

── 地域での様々な活動の中で、気をつけていることや工夫していることはありますか?

「できるだけ丁寧に人とコミュニケーションをとって、参加してくれる人たちに楽しんでもらえるよう意識しています。受付や案内でも、自分から積極的に声をかけるようにしています」

「小学生の見守りや夏休みの居場所づくりでは、子どもたちが予想外の動きをすることもあるので、臨機応変に気を配るようにして、責任感を持って取り組むようになりました。小さい子には、目線を合わせたり、身振り手振りを交えたり、声のトーンを工夫してわかりやすく伝えるようにしています」

── 地域の大人たちと一緒に活動してみて、どんな学びがありますか?

「学校の先生や同級生と話すのとは全然違います。目上の方には丁寧な言葉遣いを心がけていますし、地域の昔の話を聞かせてもらえるのは自分の知識としてもすごく役立っています」

「最初は世代が離れていて距離感を感じることもありましたが、一緒に活動するうちに自然と打ち解けられました。自分たちの提案を大人の人たちが『すごいね!』って褒めてくれたり、様々な活動の中でやり取りできたりする経験は、学校生活だけでは得られないものだと感じます。ここで学んでいるコミュニケーション力は、将来どんな仕事に就いても絶対に活かせると思います」

しっかりと自分たちの言葉で思いを語ってくれた中学生たち。その表情からは、「やらされている」感は一切なく、地域の一員として役割を全うする頼もしさと誇りが感じられました。学校という枠組みを飛び出し、多様な世代の大人たちと関わるこの場所は、彼らにとって社会に出るための大切な「リハーサルの場」にもなっているようです。

この日、みなさんは井吹東の夏まつりの運営スタッフとして活躍していました。

コベカツは、地域の大人にとっても「新しい扉を開くチャンス」

── 最後に、これからコベカツで中学生を受け入れようとしている団体へメッセージをお願いします。

坂本さんいまの時代の子どもたちと接する中で、「昔はこうだった」と古い感覚を一方的に押し付けるのは違うと感じています。大切なのは、大人の側もアップデートして、子どもたちと一緒に今の時代に合った活動を考えていくことです。
どこであっても、地域って「デパート」みたいなものなんですよ。防犯もあれば、防災もある、福祉もあるし、環境もある。そしてもちろん、スポーツや文化・芸術も等しく地域の豊かな財産です。その地域に根づく多様な魅力に触れることで、子どもたちの中に「自分も手伝ってみたい」「やってみよう」という芽が育ちます。
コベカツという新しい枠組みができたことで、私たち大人は「こんなに面白い世界があるよ、一緒にやってみない?」と子どもたちに声をかける絶好のチャンスをもらえたのだと思っています。

難しく考えすぎる必要はないのかもしれません。まずは大人自身が心を開き、子どもたちと一緒に活動を楽しむこと。そして、彼らの力を信じて任せてみること。井吹台ジュニアチームの24年の歩みと、そこでいきいきと躍動する中学生たちの姿は、地域社会全体で子どもたちを育む「コベカツ」の豊かな可能性を、私たちに力強く示してくれました。

[取材・編集・文:岩佐 総一郎]

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